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1: ムネオヘアーρ ★ 2012/10/28 19:07:22
かだろ(53)「青島…ありがとう」

 「踊る大捜査線」シリーズで共演している織田裕二君とは、一部のマスコミ報道で「犬猿の仲」などと騒がれ
たことがありました。

 この「かだろ」でも書きましたが、いまから15年ほど前、テレビドラマの撮影が始まったばかりのころ、演
技を巡って織田君からちょっとしたひと言があっただけなんです。

 週刊誌などで、いろいろと面白おかしく報じられましたが、気にはしませんでした。

 先日、映画の公開にあたって織田君と2人で取材を受ける機会がありました。そのとき、当時のことを「覚え
てる?」って聞いてみたんです。

 室井慎次を演じている限り、尋ねてはいけないことだと思っていました。でも、シリーズは今回で終わる。も
う、刑事・青島俊作としての織田君との会話でなくていいんだな、という気持ちがありました。今日が、聞ける
チャンスだと感じたんです。

 ぽんと投げかけたら、織田君は「えっ、そんなことありましたか。そんなこと言うなんて最低な男ですね」と
答えてくれました。

    □ □ □

 「踊る大捜査線」は、今までにない刑事ドラマをつくろうという試みで始まりました。織田君は、どこまでキャ
ラクターを磨き上げられるか必死だったと思います。当然、こちらも真剣勝負。今思えば、役者としてのお互い
の葛藤がぶつかり、火花を散らした出来事でした。

 でも、この衝突が「室井」を作り上げていくうえではいい糧になりました。織田君に「あのことがなければ、
ここまで室井をやってこられなかったと思う」と感謝の気持ちを伝えると、「感謝されることじゃないですよ」
と笑っていました。

 作品に対する思い入れや情熱は、誰にも負けないつもりでいました。織田君も同じです。いい加減に取り組ん
でいたとしたら、厳しいことも言わないし、嫌な思いもしない。当たり障りのない時間が過ぎていったんだろう
と思います。お互いが、ものづくりに正面からぶつかっていた証明だと自負したいです。

    □ □ □

 「踊る大捜査線」にかかわる仕事は、大阪の映画館での舞台あいさつがラストでした。もうこれで終わりとい
うタイミングになったとき、マイクを握った織田君がひと言、「これで、室井さんは『踊る大捜査線』、最後で
す」……うれしかった。胸いっぱいになりました。15年間の思い出が、頭の上から一気に落ちてきたような衝
撃を受けました。

 室井慎次は卒業しますが、いつかまた、役者織田裕二と、時をともに過ごすことを楽しみにしながら、最後に
ひと言……。

 「青島……ありがとう」(15年間、その思いはあっても言わなかったセリフです)

      ◇

 柳葉敏郎さんの「かだろ」は、毎月第4金曜日に掲載します。


:http://mytown.asahi.com/akita/news.php?k_id=05000251210260001

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